青森地方裁判所 昭和26年(行モ)9号 決定
被申立人が昭和二六年五月一四日特別都市計画法第十三条第十四条に基くものだとして申立人所有の青森市大字大野字長島七七番の五号宅地三六〇、二四坪中三八坪についてした工藤勘七のための借地換地予定地指定処分の(イ)効力の発生及び(ロ)執行を何れも停止する。
二、理 由
申立代理人は主文同旨の決定を求める旨申し立てその理由として書面を以て陳述した事実の要旨は
被申立人は(イ)昭和二三年四月一四日特別都市計画法第一三条第一四条に基き、申立人所有の青森市大字大野字長島七七番の七宅地三六一、二四坪の換地としてその一部たる三〇七、三七坪(内一八一、〇九坪は毫も物上負担の目的でない)を指定し且つその旨申立人に通知しながら(ロ)工藤勘七の策動に動かされ、右処分後実に三年二ケ月の長年月が経過した昭和二六年五月一四日突如右法律に基くものだとして同人のため右一八一、〇九坪中三八坪を借地権の目的たる換地予定地に指定し、その旨同人及び申立人に通知した。併し乍ら(一)工藤勘七は本来申立人の所有宅地上に何等の借地権をも有つていなかつた。(二)仮りに同人が申立人所有の同上六九番の六宅地上に何等かの借地権を有つていたとしても申立人は該宅地の換地予定地として(イ)の指定処分及び通知を受けたものではない。(ハ)仮りにそうでないとしても同人は昭和二一年一一月七日青森県告示第四一三号を以て青森復興都市計画土地区劃整理地区が定められてから一箇月以内に借地権の届出を為さなかつたから特別都市計画法施行令第四五条による救済を求め得べき限りではない。よつて(ロ)の指定処分は右何れの点から観ても違法不当である。そこで申立人は昭和二六年六月一五日被申立人を被告として当裁判所にその取消請求訴訟を提起した。しかし工藤勘七は目下該指定処分を楯に強引に同予定地三八坪に立入り相当堅固な建物等を築造する準備に大童である。従つて今若し右工事が進行せんか、申立人は他日勝訴の判決を受け該判決が確定しても時既に遅く通常の手段では到底回復不能、補償至難の重大な損害を被るであろう。従つて今これを已然に防止する緊急の必要があるからここに行政事件訴訟特例法第一〇条により右行政処分の効力の発生及び執行の各停止を求めるため本申立に及ぶというにある。
よつて当裁判所は被申立人の意見を聴き一件記録を精査し諸般の事情に稽え差し当り申立人の言い分を一応正当と推測し主文のとおり決定する。
(裁判官 中川毅 小友末知 野原文吉)